FM 補聴器
どんなに若くて健康な人でも、駅や日曜日の混み合ったデパートの中では、
聞こえが悪くなります。
年を重ねて聞こえが悪くなった人は、こうした場所に出ることを嫌がります。
デパートで服を選びながら、
「どっちの服が似合うと思う?」と尋ねる娘の声よりも、
場内のアナウンスや他の客の話し声が、
補聴器を使っている人の耳に強く飛び込んでくるからです。
しかし、あきらめないでください。
こういった場所ほど力を発揮できる補聴器もあります。
それがFM補聴器です。
FM補聴器はイヤホンとマイクがセットになっています。
マイクに入った音はFM電波でイヤホンへと飛んできます。
普通の補聴器では、話している人から遠ざかるほど、
その人の声は聞こえにくくなりますが、
FM補聴器の場合、声を聞きたい人にマイクをつけてもらえば、
多少離れた所でも、その人の声をはっきりと聞くことができます。
周りの雑音まで大きく聞こえて煩わしいという悩みからも、開放されるわけです。
この補聴器の欠点は、現在の段階では高価だということです。
しかし、いずれはより安価になることが予想されます。
年を重ねれば、誰もが等しく聞こえが悪くなります。
聞こえにくいという状態を、他人事だと思わずに、
社会全体で支援していかないと、
人口の多い、私たち団塊の世代が高齢者になったとき、
いろんな混乱を招きかねません。
聞こえを補う努力をしていくことは
社会全体にとって、大切なことなのです。
北國新聞平成12年2月21日号から一部改変