急に聞こえなくなった
―意味のない笑いが目安に―

補聴器
 
「このごろ急に聞こえなくなりました」

息子や娘に連れられて
、
しぶしぶといった感じで耳鼻咽喉科を訪れるお年よりは、
決まってこのようにおっしゃいます。
耳の聞こえのちからは40代から衰えます。
決して急にきこえなくなったわけではないのですが、
自分ではなかなか気づかないのです。
周囲の人は本人よりも早く気づきますが、
耳が遠くなったと指摘することは、
相手の心を考えると、難しいことなのです。

聴力の衰えはどんな人でも防げません。
ただし聴力を担当する脳にさぼり癖をつけないようにすることは可能です。
それには、周囲が早く発見することが第一歩です。

「今の言葉が聞こえなかった」と聞き返すのは、とても勇気のいることです。
そこで、聞こえなくても、分かったような顔で適当に言葉をつないで
ちぐはぐなことを言ってみたり、にやっと笑ってみせます。
何を言っているか分からないが、少なくとも相手に嫌われたくないから笑うのです。

受け取る側としては、話はかみ合わないし笑われるしで、
ばかにされたような気がしてしまいます。
しかし、聞こえの悪い人は必死なのです。

誰でもいつかは聞こえが悪くなります。
いずれは自分がたどる道なのです。
そう考えると、聞こえの悪い人と話をするときの態度が
いかにあるべきかは自然にお分かりだと思います。

老いも若きも、こうした行動が聴力の衰えの兆候であることを知ることが、
高齢社会の21世紀の新しい常識にならねばなりません。

北國新聞 平成12年1月17日号から改変

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